IPアドレスって何?
よく耳にするけどいまいちよくわからないなぁ
誰か詳しく教えて〜
こんな疑問にこたえます。
普段SEとして働く僕が詳しく解説します。
IPアドレスはネットワーク機器の識別番号
現実の世界において、郵便物などを誰かに届けるときに必ず住所(アドレス)が必要です。
ネットワークの世界でも同じで、データを他の機器に届けるには識別情報が必要です。
その識別情報として使われているのがIPアドレスです。
LANの説明で紹介したMACアドレスがレイヤ2での比較的狭い範囲での通信に使われるのに対して、IPアドレスはルータをこえて広い範囲での通信(レイヤ3での通信)に使われます。
IPアドレスはTCP/IPのIPプロトコルで使用されます。
IPアドレスは2進数32ビットで表現されますが、人間が理解しやすいように8ビット単位に区切り、それぞれを10進数で表現します。
192.168.0.4
みたことあるのではないでしょうか?
これを2進数で表すとこうなります。
11000000 10101000 00000000 00000100
IPアドレスは32ビットでひとかたまりというわけではなく、ネットワークアドレス部とホストアドレス部に分けることができます。
先ほどの例で言うと下線の引いてあるところがネットワークアドレス部になります。
11000000 10101000 00000000 00000100
ネットワークアドレスは住所で言うと都道府県のようなものです。
ホストアドレスは個々の家を特定する番地みたいなものです。
ネットワークアドレスはホストアドレス部を全て0にしたものになります。
11000000 10101000 00000000 00000000
IPアドレスのクラス
クラスA
クラスAはネットワークアドレス部8ビット、ホストアドレス部が24ビットで構成します。
ネットワークアドレス部の先頭が「0」で始まります。
ホストアドレス部が24ビットなので、一つのネットワーク内に接続できるホストの最大台数は、後で説明する割り当てできないアドレスを引いて16,777,214台となります。
クラスB
クラスBはネットワークアドレス部16ビット、ホストアドレス部16ビットで構成します。
ネットワークアドレス部の先頭が「10」から始まります。
ホストアドレス部が16ビットなので一つのネットワーク内に接続できるホストの最大台数は、割り当てできないアドレスを引いて65,534台となります。
クラスC
クラスCはネットワークアドレス部が24ビット、ホストアドレス部が8ビットで構成します。
ネットワークアドレス部の先頭ビットが「110」から始まります。
ホストアドレス部が8ビットであるため、一つのネットワーク内に接続できるホストの最大台数は、254台となります。
IPアドレスのクラスまとめ
クラスをまとめます。
クラス | ネットワーク部 | ホスト部 | 接続可能なホスト台数 | 対象とするネットワーク |
A | 8ビット | 24ビット | 16,777,214台 | 大規模 |
B | 16ビット | 16ビット | 65,534台 | 中規模 |
C | 24ビット | 8ビット | 254台 | 小規模 |
なお、このほかクラスDやEがありますがユーザーへのアドレスとして割り当てることができない特殊なものなので今回は割愛します。
割り当てできないアドレス
IPアドレスにはユーザーに割り当てることができないアドレスが存在します。
割り当てることができないIPアドレスは以下の通りです。
- ホストアドレス部のビットが全て0
- ホストアドレス部のビットが全て1
なぜなら、
ホストアドレス部のビットが全て0のアドレスはネットワークそのものを表すネットワークアドレスとして使われるからです。
また、ホストアドレス部のビットが全て1のアドレスはブロードキャストアドレスとして使われるからです。
ブロードキャストアドレス
ブロードキャストとは、ネットワーク内の不特定多数にパケット配信することを言います。
下に小規模のネットワーク構成でのブロードキャスの範囲を示します。
ユーザー端末からルータの入り口までが範囲になります。
ループバックアドレス
先ほどユーザーに割り当てることができないIPアドレスを紹介しましたが、もう一つあります。
それがループバックアドレスです。
アドレスの始まりが127で始まるものはループバックアドレスとして予約されています。
例えば、自分のPCがTCP/IPネットワークの端末として参加しているかどうかpingコマンドで調べるときに使用します。
ping 127.0.0.1
このコマンドを実行すると自分のPCのTCP/IPが有効になっているかを確認することができます。
サブネットマスク
LANに多くのホストを接続すると、全てのパケットが全てのホストに送信されるため、LAN上のトラフィックが増加して通信速度が遅くなります。
また、管理も大変です。
そこで、威力を発揮するのがサブネットマスクという概念です。
建物のフロアや組織の部門ごとにネットワークをさらに細分化します。
これをサブネット化と言います。
サブネット化では、ホスト部の上位ビットをネットワーク部に間借りして、サブネット部を形成します。
こちらの例を見てください。
128.1.64.0はクラスBのアドレスなので、ネットワークアドレス部は16ビット、ホストアドレス部も16ビットとなります。
しかし、サブネットマスクを見ると1が18個並んでいます。
サブネットにより、ネットワークアドレス部を16ビット、サブネット部が2ビット、ホストアドレスが14ビットとなります。
このようにホストアドレスの先頭2ビットをサブネットに使うことで128.1.64.0という1つのネットワークを4つに分けることができるのです。
4つというのはサブネット部が2ビットだからです。
さらに細かく分けたい場合はマスク部を増やせばいいということです。
グローバルアドレスとプライベートアドレス
IPアドレスにはグローバルアドレスとプライベートアドレスがあります。
グローバルアドレス(グローバルIPアドレス)
インターネットに接続する場合には、世界で一意となるグローバルアドレスを割り当てます。
グローバルアドレスはNIC(Network Information Center:アドレス発行機関)が発行した世界で重複のないIPアドレスです。
プライベートアドレス(プライベートIPアドレス)
LANやイントラネットなどの独立したネットワークに接続する場合には、プライベートアドレスを割り当てます。
プライベートアドレスはNICに申請する必要がなく、独立したネットワーク内で一意であればネットワーク管理者が決められた範囲内で自由に割り当てることができます。
IPアドレスとは?まとめ
- IPアドレスは、ネットワーク機器や端末を識別するためのアドレス
- ネットワークアドレス部とホストアドレス部に分けれる
- IPアドレスのホストアドレス部が全て0なのがネットワークアドレス
- IPアドレスのホストアドレス部が全て1なのがブロードキャストアドレス
- ユーザに割り当てられるIPアドレスはクラスA〜クラスCの範囲内
- サブネットマスクを使うことでIPアドレスを有効に活用できる
- 組織外で使うグローバルIPアドレスと組織内で使うプライベートIPアドレスという区分けがある
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